夕方になり、独連の船団は銚子に到着した。
湾内には、既に九鬼水軍が陣形を引いている。
九鬼水軍は強い。
にわか仕込みの伊達水軍では勝てぬであろう。
しかし、北海の雄「秋田水軍」がいる。
しかも船団の数でも上まわっている。
秋田水軍の将、実季が事前に成実より政宗の覚悟の程を聞いていた。
そして、独連にとって正念場である事も。
実季は、最も確実な勝利方法を選択した。
伊達、南部水軍が少し離れた所で待機する。
そして、秋田水軍が戦闘状態に入った。
自分の小早船に、火を掛けて突撃して行く。
一艘につき一艘、確実に潰す。
まさに玉砕である。
実季は、船の大半を失ってまでも確実な勝利を選択した。
並の者では、ここまでは出来ない。
実季が叫ぶ。
「船ぐらい又造ればよいわ、どんどん壊せ」
これには、流石の九鬼水軍もどうする事も出来なかった。
九鬼方の将が嘆く。
「これでは船がいくつあっても足りぬは」
九鬼水軍は、たまらず沖の方へ引いていってしまった。
実季はすかさず、利根川入り口を占拠する。
気が付くと、既に夜になり辺りは暗くなっていた。
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