①恐るべき家康、奥州独立連合が完敗。

政宗が取り乱す。
「ええい!引くな!!」
影綱が政宗を誘導する。
「ここは、あぶのうござる。お引き下され」
「どけっ!影綱」
影綱は引かない。
「何をしておる皆のもの。殿を御連れしろ」
政宗も引かない。
そこで、影綱は政宗に怒声を浴びせた。
「殿、一度の敗北で自棄になりなさるな」
「負けた場合は、霞ヶ浦まで兵を引き第二線とする予定ではありませなんだか?」
「戦はまだ始まったばかりでござるぞ」
この影綱の言葉で政宗は落ち着きを取り戻した。

②名コンビ!政宗と影綱

大将たるものは、苦境に陥った時ほど燐としていなければならない。
一時は錯乱状態に陥ったが、既に素に戻っている政宗、瞬時に大将へ怒声を浴びせ状況を転換させる影綱。
一+一は二ではなく三にでも四にでもする。
この二人は紛れもなく名コンビである。
影綱が政宗に、穏やかに指示を仰ぐ。
「さあ、下知をお出し下され」
影綱の話方も絶妙であり、政宗の心を見事に落ち着かせる言い回しである。
政宗がひとつ大きく息を吐き、鋭い目に戻った。
「騎砲隊を先に退却させい」
政宗は伊達の至宝ともいえる騎砲隊の温存を図るために、最優先で退却させた。
敗れはしたものの、その後の的確な処置は非常に大切である。
何も勝った時だけが、大切なわけではない。
これを見事に行う政宗は、やはり大将の器である。
また、それを支える影綱及び、家臣団が伊達家の強さの秘密である。
伊達本隊が徳川勢を支えている隙に、大半の部隊が撤収を終えた。


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第8章・関東争奪戦 目次へ


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