①南部利直の元へ駆けつける利胤

本隊が急ぎ北へ目指す中で、急に戻りだす一隊があった。
相馬利胤である。
利胤が利直を案じ、一千の兵のみを引き連れ、しんがり隊である南部勢の元へ向かった。
利胤が南部隊に合流してみると、予想通り南部勢が苦戦していた。
<敵の数が多すぎる>
利胤が使い番を呼ぶ。
「利直殿のもとに参り、南部勢とわれら相馬勢が交互に防ぎながら引き上げるよう申して参れ」
激戦中の利直の下に、利胤の使い番が現れた。
利直が応える。
「あいわかった」
「“かたじけない”と申し伝えい」
利直と利胤が交代で防ぎ引いていく。
この二人は、先日の軍議で発言した通り、命を投げ出す覚悟でいた。


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