米沢での戦いは、まずは伊達政宗率いる連合軍の勝利に終わった。

片倉影綱曰く「直江兼続にしては、あっさりと退却したのが腑に落ちない」

とりあえずは政宗率いる独連の勝利である。
しかし、兼続率いる上杉勢にも未だ余力が残っており、米沢城も落ちていない。
政宗が追撃中止の指令を出し、急遽、軍議が開かれた。
諸将が悔しがる。
「あのまま、一挙に会津まで流れ込めると思ったのでござるが!」
この作戦会議では、吾妻丘に陣取る上杉軍を先に討つか、それとも、福島城を先に落すかのどちらにするか論議された。
結局、吾妻丘に陣取る上杉軍の壊滅を優先した。
南部利直だけは、福島にとっくに戻っている。
軍議が行われた翌朝、黒脛巾より上杉勢が昨夜のうち福島へ向ったという報告を受けた。
<しまった>
「全軍急ぎ福島へ迎え」
兼続率いる上杉勢は、夜間のうち福島へ向かったのであった。
政宗が福島に入る寸前、相馬勢が敗走、南部勢が木曾飯坂まで引いたとの報が入った。
政宗は一里後まで一旦兵を引く。
兼続は福島の独連軍を敗走させた事によって、見事に米沢丘の敗北を帳消しにしたのであった。
一部の戦いではなく、大局を考えて行動する。
さすが名軍師、直江兼続である。


1件のコメント

第五章・17・勝機 | 『南部利直』見参、南部軍が上杉軍を攪乱 · 2022年2月21日 10:31 AM

[…] 「第五章・18・束の間の喜び」を読む […]

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