福島城を落としいれた「南部利直」が透かさず米沢へ舞い戻る。

しかし、それから暫くたって、上杉の陣内が慌しくなった。
上杉陣後方より銃声がする。
黒幅巾が現れた。
「南部利直様の軍勢が、上杉陣後方に現れました」
「何!誠か?」
利直は、福島城の囲みを鬼庭綱元に任せ、上杉の後詰めとすれ違いで米沢を目指したのであった。
政宗に、笑みが戻る。
「今じゃ。騎砲隊を押し出せ!!」
あの勇猛な上杉勢が混乱をきたしている。
成実が叫ぶ。
「やっと、我らの出番ぞ。わしに続け!!」
上杉勢は、白兵戦では異常なまでに力を発揮する。
しかし、もともと兵力差で勝っていた伊達勢がじりじり押し始めていた。
兼続が仕方なく退却の合図を出す。
「仕方ない、退却じゃ。全軍吾妻丘まで引き上げよ」
しんがりは、上杉の猛将、柿崎直家が受け持った。
独連軍は追撃に入る。
「このまま、一気に会津に乱入せよ」
しかし、しんがりの柿崎直家は巧みに防ぎ、撤退を繰り返す。
その間に兼続率いる上杉勢は吾妻丘まで引き上げ陣形を建て直した。

小説「薩摩の風に送られて」名脇役「南部利直」

出版されている小説にて、かなり登場回数の少ない『南部利直』。
前田利家を烏帽子親とし南部家二十六代当主として、初代森岡藩主として歴史に登場する『南部利直』。
利直の「利」の字は、大納言「前田利家」から授与された名である。
史実では、父「信直」とともに、伊達政宗との戦いに悩まされ続けた武将の一人であった。
しかし、関ヶ原の戦い時にいける、伊達政宗が和賀忠親を煽動して起きた「和賀一揆」を鎮圧し、盛岡城を中心とした盛岡城下町の形成などに見られるように優秀な戦国武将であったと推察される。
本著では、有能であった「南部利直」を描きたく、小説「薩摩の風に送られて」では、相馬利胤と共に、政宗を支える南部利直の登場となった。
本小説では、利直の活躍シーンは、多々あるが、お勧めシーンは、やはり「第8章・⑰利胤と利直の義侠」である。

「第五章・18・束の間の喜び」を読む


1件のコメント

第8章・⑰利胤と利直の義侠 | 軍律違反を犯した「相馬利胤」の行動に理解を示す政宗の温情 · 2022年2月21日 10:56 AM

[…] 南部利直と同様、小説の世界にて登場が稀な戦国武将『相馬利胤』。利胤「利」の字は、徳川家康の直臣「土井利勝」の「利」を授与された名である。史実では、伊達政宗との戦いに人生の大半を費やした父「義胤」とともに、現在の福島県相馬を発展させた。しかし、関ヶ原の戦い時には、中立を貫いたことで一時は、所領没収の危機に陥るが、利胤の決死の覚悟「江戸奉仕」の結果、所領安堵を得るなど、なかなかな戦国武将であった。小説「薩摩の風に送られて」では、「南部利直」とともに伊達政宗を支える若き将として描かれている。 […]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です