片倉小十郎影綱、使者として「最上義光」のもとへ。

この日、片倉影綱は最上義光へ会うため、出羽の山形城にいた。
出羽とは、現在の山形県である。
「久しぶりじゃの、影綱」
「はあ、朝鮮の役依頼でござりまする。義光様もご機嫌うるわしゅう」
一見和やかな雰囲気に見えるが、実はそうではない。
義光は政宗の叔父にあたる。
政宗の母、保春院がこの義光の妹なのだ。
もともと保春院は、伊達家乗っ取りの密命を受け伊達家に嫁いだ。
しかし、先代の輝宗と政宗の関係は堅固であり、伊達家乗っ取りは失敗に終わっている。
しかも、義光よりも政宗の方が奥州の覇者として名実共に上にいるのが現実であり、そういう政宗を義光は内心面白くなかった。
そういう経緯で義光と政宗の関係はぎくしゃくしている。

出羽の曉勇と、伊達の名軍師の知恵比べが始まる。

「ところで、義光様に御願いがござりまする」
義光が先走り答える。
「わしに伊達家の配下になれ、とでも言いに来たか?」
影綱は、別に慌てない。
<やはり分かっておったか>
「配下とは言っておりませぬ。同盟を結んで頂きたいと思っている次第でござりまする」
義光が、不機嫌そうに答える。
「同盟とはいっても、実質配下となれと言っているのと同じではないか!」
「我が殿は、最上家だけではなく、南部家、津軽家、秋田家、相馬家など奥州の大名にて連合を結成し、中央に干渉されない体
制をと考えておりまする」
「では、だれが総帥となるじゃ?」
「それは、言い出し側の伊達、つまり我が殿政宗がやる事になるでしょう」
「ふん、やはりそうではないか!」
「義光様には、服将・・として連合をまとめて頂きたいと考えておりまする」
「わしが、副将か?」
<悪くはないな>
義光は、当然副将は副大将と受け取った。
しかし影綱は服した将、服将と、副将をかけて言ったのである。
「政宗がどうしても、と言うのであれば」
「かたじけのうござりまする」
一応義光は連合の話に乗る事にしたが、いざとなれば家康にこの事を話し、裏切る覚悟でいる。
影綱も、それは想定内である。
双方の疑心暗鬼状態は解消されないままではあるが、義光の連合入りは決まった。


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