①「島津忠長」、「島津忠興」の九州制覇を賭けた戦い。

忠興軍は静かに府内丘裏へ進む。
「音をたてるなよ!」
黒田方が把握している事を予め認識していることから、別に音を立てても問題はないのである。
しかし、一応は知らないよう振舞う必要があった。
忠興隊は、途中で軍を二隊に分けている。
一隊は忠興がそのまま進軍し、残る一隊は伏兵として静かに林の中へ消える。
忠興が心配そうに空を見上げる。
<予想通り、来るかの>
丁度その時、物見が戻って来た。
「申し上げます。一町先に敵伏兵と思われる軍勢を確認」
「各小隊に伝えよ! 迷わず来た道を引き返し、我が軍の伏兵場所が過ぎたら取って返せとな」
敵が潜む場所まで、徐々に近づく。
「敵襲!!」
前衛の兵が叫ぶ。
この声と同時に、忠興隊が来た道を予定通りかけ戻る。
事前に逃げる段取りをしてある事から、手際のよい退却が可能であった。
対する黒田軍は、ここぞとばかりに追う。
そして、黒田軍が島津軍の伏兵場所を通り過ぎたと同時に島津方の伏兵が姿を現した。
その瞬間、忠興が叫んだ。
「全軍、反転し黒田軍を壊滅せよ!!」
罠にはめようとしていた黒田軍が、逆に罠にはまっていた。
黒田軍はうろたえる。
もともと黒田軍は、如水が急遽募った寄せ集めの兵である。
危険と分かったら、直ぐに逃げ出すのが至極当然であった。
こうして忠興軍は黒田軍の一部を壊滅させることに成功。
一方、忠長本隊も黒田軍の本陣を敗走させる。
黒田如水は、命からがら豊前中津に逃げ帰った。
この勝利により、加藤清正以外で九州における殆どの大名が島津に降った。


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