跳ねる、徳川家康と本多正信、「小山評定」前夜。
服部半蔵より“三成動く”の報が入った。
「遂に動いたか」
半眠りであった家康の眠気が吹っ飛ぶ。
「正信を呼べ」
本多正信が浮かれ顔で入ってくる。
「殿、遂に三成が動きましたな」
「うむ、明日は評定を開く。抜かりはないな」
「万時手筈通り。 が、あの男次第でござりまするな」
あの男とは福島正則の事である。
豊臣恩顧キーマン「福島正則」への煽惑。
この会津征伐には豊臣子飼いの大名が多い。
加藤清正がいない以上、福島正則がどう動くかにより他の大名は大きく左右される。
西といったら西に、東といったら東になる可能性が大きい。
正信は、以前から徳川に近づいていた黒田長政に正則説得を一任していた。
正則は三成憎しで家康に味方しているが、家康の野望に気が付いた場合、間違いなく西に付く。
正則は猛将であるが、それだけに単純な所もある。
そんな正則を、口巧みな長政がだましだまし説得していたのである。
また、家康にはもう一つの不安要素があった。
「後、伊達も心配じゃの」
家康が西に引き上げると同時に、間違いなく上杉は追撃に出る。
それを、後方より伊達が牽制し、上杉を釘づけ状態にする必要があった。
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