プロローグ~7.大納言、前田利家の死

雨が降る夜、前田利家がこの世を去った。
家康封じに精魂を使い果たしてしまったのであろうか?
家康の活動はますます活発になる。
次に謀略の餌食に選んだのは、利家のいない加賀百万石の前田家であった。
家康としては、百万石を領するこの大大名を放っておく分けにはいかない。
そこで家康は、強引な手に出た。
利家の子、利長は利家葬儀のため、居城である金沢城へ帰っている。
そこで先ほどの家康暗殺騒ぎは、利長が起したとでっちあげたのだ。
しかも、あわよくば豊臣家に謀反を起そうとしていると。
利長は混乱した。
完全な言い掛かりである。
しかし、利長には家康と張り合えるだけの器量がない。
家康の要求は利長の母、芳春院である。
つまり芳春院の人質は前田家の服従を意味する。
芳春院は、それほどの重要人物であった。
家康の力、そして前田家の存続を考えた芳春院は、江戸へ行く事を決意した。
利長は悔やみながらも、何も出来ず母の芳春院を人質として江戸へ送る。
芳春院を人質にとられた前田家は、徳川には逆らえない状態となった。
これで大坂方には、家康と張り合える人材が完全に存在しなくなってしまったのである。

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