プロローグ~4.大坂城入り

諸大名の大坂城移動が表明されたにも関わらず、動かない大名がいた。
加藤清正、福島正則等、反三成派の大名である。
これには家康は喜んだ。
家康は、この移動で自分方に付く大名に目星をつけたかったのだ。
「うむ、まずまずじゃな」
加藤清正に限っては、朝鮮より帰還してから何を考えているのか本拠である熊本にも帰っていない。
家康は、あいかわらず伏見に残った諸大名に繋ぎを取り続ける。
「伏見に残った諸大名の繋ぎはこれでよかろう」
正信が応える。
「はあ、もう一度ここにいる以外の諸大名との繋ぎを取りたい所でございまするな」
家康が不敵な笑み浮かべる。
「正信、秀頼様へのあいさつを名目に大坂城へ入るぞ。挨拶に行くのは勝手じゃからの」
家康は、秀頼への年賀挨拶を口実に大坂城へ入る事にしたのである。
早速家康は、強引に大坂城へ入った。
「秀頼様、家康でござりまする。秀頼様の為この年寄りが身を粉にして働きまするゆえご安心くだされ」
秀頼は未だ十一歳、何を言われてもただ返事をするだけであった。
それを見る三成が、冷たい視線を送っている。
<はよう伏見へ帰れ・・・>

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