仙台城の奥の間に、巨大軍船の設計図が飾られた。
それを眺めながら政宗は、影綱に本音を漏らす。
「しかし、残念じゃったのう」
影綱が応える。
「仕方ござるまい」
政宗は、島津家より同盟話が持ち上がった頃と比べて、どこか落ち着いたようだ。
そういう政宗を見て、影綱はとりあえず安堵している。
<無理に天下を乱す必要なし>
影綱は、どちらかと言えば平和思想である。
取り敢えずのところ、戦乱も収まり静かな時代が続く事が予想された。
それと同時に不安もある。
影綱は、楽しそうに設計図を眺める政宗に問い掛ける。
「殿、この軍船で今度は何をしようと?」
怪訝そうな顔を浮かべる影綱を他所に、政宗は笑顔で応える。
「決まっておろう」
<日の本はせまい。海の外じゃ>
「心配致すな。まだ先のことじゃ」
影綱は、呆れ顔である。
「それにしても、島津殿に踊らされましたな」
結局のところ、この国は、島津義弘の思惑通りになったのである。
徳川家康、伊達政宗、上杉景勝、前田利長、全ての大名が義弘の手の内で踊った事になる。
「日の本の南の果て、薩摩より吹いた風に全てが動かされましたな」
「そうじゃのう。今度は奥州より疾風を送るとするか・・」
<この船で>
苦笑いする景綱、そして政宗は、軍船設計図を眺めたまま、酒に酔い眠ってしまった。


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