加藤清正が、口を開いた。
「秀頼様、みな揃ってござりまする」
秀頼が、清正から教わった通りに話し出す。
「みなのも、遠路誠にご苦労であった」
家康以外、みな示し合わせていたかのように頭を下げる。
「ははっ。もったいなきお言葉」
清正が、話を進める。
まずは、秀吉が亡くなった後から、今までの経緯を全て述べる。
太閤秀吉が亡くなり、家康が勝手に縁組を行った事。
会津征伐が行われた事。
関ヶ原の事など全て述べた。
清正が、“ふーっ”と溜息をついた後、静かに話始める。
「家康殿にお伺い致す。なぜ勝手な縁組を行ったか申して頂きたい」
<清正め・・あの時は、わしに味方しておったではないか>
家康が応える。
「あれは、わしではなく相手より言い出してきたことじゃ。のお!福島殿、伊達
殿」
正則と政宗は小さな声で応えた。
「はあ」
家康がにやける。
<なんだ、素直じゃのお>
「それとも、このわしに否があるとでもいうのか?」
清正が応える
「べ、別にそのような事は申しておりませぬ」
家康が調子付く
「そうであろう、仮にわしが処罰されるならば、そこにいる福島殿、伊達殿をは
じめ豊臣恩顧の大名を処罰しなければなりませぬぞ」
福島正則が狼狽える。
「それは困りまする」
家康はさらに畳み掛ける。
「それらみな処罰されるならば、わしも素直に従うが」
各大名の表情は暗くなっていたが、家康の表情はそれに反し明るくなった。
第十章・天下三分の計 | 島津義弘と伊達政宗の戦いが遂に決着
第10章・⑭我が人生に悔いは無し | 小説「薩摩の風に送られて」最終話
ここ薩摩島津の居城「鹿児島城」には、島津義弘と忠恒が何やら話し込んでい 続きを読む…
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第10章・⑥金沢城 | 家康包囲網、金沢城に集う英雄たち · 2022年2月20日 6:58 PM
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