島津義弘と共に、秀頼の元へ走る加藤清正。

清正は、熊本城を明渡すと即、岡山へ向かった。

その軍勢の後には、島津義弘率いる島津勢もいる。

その途中、福島正則の移封場所である周防で、島津忠恒と戦っている状況を聞いた。

<なんとか戦を中断させ、正則にも力を貸してもらわねば>

正則率いる福島軍は多勢に無勢。

忠恒率いる島津軍に押されまくっていた。

島津方は決着をつけるため、軍議の真っ最中であった。

そこに義弘が駆けつけた。

「父上、急にいかがなされました」

その後ろには、一人の大男がいる。

<だれじゃ>

大男が近付いたその瞬間、忠恒は叫んだ。

「か 加藤清正! なぜここに」

義弘が事情を説明した。

虎退治、加藤清正と初めて会う島津忠恒。流石に清正は大人であった。

忠恒が応える。

「危ないところでござりましたな。清正殿」

清正がむっとした表情を浮かべたが、すぐに平常心を取り戻した。

<噂以上の高飛車な男じゃな>

そのやり取りを見ていた義弘が、清正に謝る。

「申し訳ござらぬ。こういう気性ゆえお許し下され」

清正は笑顔で応える。

「いやいや、なかなかの心意気」

清正の頭は、秀頼を助ける事で一杯である。

若い忠恒の言う事をあまり気にしなかった。

そして清正と義弘はそのまま、福島正則の陣へ向った。

 


第七章・4.清正の涙 | 島津義弘、単独で加藤清正の熊本城へ乗り込む へ返信する コメントをキャンセル

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です