①関ヶ原に、島津軍が出現。

東西が対峙する関々原に、初めての朝が訪れようとしている。
「忠吉殿、この戦は徳川の軍勢が先陣を切らなければなりませぬぞ」
井伊直政が家康の六男、松平忠吉を説得する。
今回の戦、東軍の先鋒は福島正則だと決定していた。
しかし、常に徳川の先陣を担ってきた直政には、徳川に縁のない正則に先陣を譲る事に我慢が出来なかった。
紅備えの面子にかけて、抜け駆けしてでも先陣を切るつもりでいる。
「忠吉殿の今後のための見物という名目で、福島隊の前へ進みまする」
「よろしいですな・・・」
「直政、抜け駆けするのか!?」
「致し方ござるまい」

②水を差された「井伊直政」、義弘の真意を探る家康。

井伊の紅備えが静かに前進しようとした時、使い番が慌しく駆け込んで来た。

「西軍と我らとの丁度中間あたりに、島津が陣を引きました」
「何!して、島津は敵か?味方か?」
「いや、未だそれは分かりませぬ・・」
「忠吉殿、一時中断と致しましょう。それがしは殿の所へ行って参りまする」
家康本陣に直政が姿を現した。
「おう! 直政か・・」
本多忠勝、黒田長政もいる。
「島津が来おった。あれの動きが今一見えん」
忠勝が怪訝そうに答える。
「敵じゃと思ったが、敵じゃとあんな所に陣取るのは腑に落ちん」
「五を呼べ」
「今暫らく動くなと福島正則に伝えよ」
五とは、徳川の専属使い番集団である。


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